水素分子のガスを溶解させた水で、無味、無臭、無色。水素は水に溶けるが、溶解度は低く、ごくわずかな量しか溶けないため、基本的に水と同等の性質。
水素事態の効果は基礎研究が蓄積されているが、水素水については信頼できる臨床データは少なく、いまだエピソードの類である。
水素由来の効果は色々と謳われているが、それが人体に作用するかは明確に特定されていないものが多い。
特定保健用食品や機能性表示食品などの表示が認められた製品も存在しない。
国民生活センターはさまざまな実験も行った。水素水に公的な定義がなく、溶存水素濃度も様々である。ひどいと溶存水素が検出されない製品もあった。
水素水は2つに分類され、一つは水素を水に溶かしこんだもの。ガスを水に充填する方法や、化学反応により水素分子を発生させる方法。
水素ラジカルや水素化物イオンが溶存している活性水素水には科学的根拠がない。
もう一つは管理医療機器として承認を受けたアルカリイオン整水器で水を電気分解して作られたもので、還元水素水と呼ばれ、胃腸症状の改善効果などの医療効能が薬機法でも認められている。アルカリイオン水、電解還元水、電解水素水とも呼ばれる。
下痢、便秘、消化不良、胃腸内異常発酵、制酸、胃酸過多などの改善効果が期待できる。
水を電気分解すると陰極側に水酸化物イオンと水素分子を多く含む水素水ができる。この電気分解のパワーによって水素イオン指数pHが変わり、7なら中性でそれ以上ならアルカリ性になる。飲んだ直後に胃酸がある程度中和されて、常飲すると胃もたれや胃の不快感を和らげ、胃腸のはたきを助けて便通を良好にするとか。
水素水の容器の好ましいのがアルミボトル。水素分子はプラスチックやガラスなどはすりぬけるが、アルミは数少ない水素を通さない素材。しかし薄いアルミパウチはキープできているか怪しい。開栓後はどんどん抜けていく。
トレッドミル30分の運動後に普通の水と、水素水を飲んで、酸化ストレス値が水素水の群のほうが抑えられた実験もある。運動後の回復を後押しして、疲労軽減に効果が期待できるか。
美肌効果などはない。水素水の抗酸化力が活性酸素を除去して老化を抑えるなどいわれていた。巷のうわさレベルということだ。
活性酸素は呼吸によって体内に取り入れた酸素が通常よりも活性化したもので、取り込んだ酸素の数%が活性酸素に変化するといわれ、細胞伝達物質や免疫機能として働く。しかし、紫外線やストレスなどの影響で、過剰に発生すると体の不調や老化の原因となる。
水素水ががん予防する科学的根拠もない。
ダイエット効果も科学的に認められていない。
健康維持、体質改善、記憶力や学習能力の向上というのも眉唾物。
アルカリイオン水は医療効果も認められている水で、メーカーによっては整水器に浄水機能がついているタイプもある。水の美味しさを重視したい人向き。
認められている効果は胃腸症状の改善で、1999年に厳密な比較臨床試験で軽度な胃腸症状の改善に有効であると結果が示されている。
アルカリイオン整水器は多くのメーカーから販売されて、基本的に浄水機能付き。
pHが低いものから少しずつならし、1日の量は500~1000mlにして、服薬や乳児のミルク作りには使わない。
水素水ブーム減退の理由
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20161215_2.pdf
国民生活センターの調査結果により、景表法に抵触する恐れがあったから。
それから2021年3月30日に消費者庁から水素水生成器の販売・レンタルサービス提供事業4社に対する景品表示法に基づく措置命令がでたこと。
水素水に対するマイナスイメージが定着した。がん予防、老化防止、シミやくすい改善などの美容効果を表示していたことが問題。
水素水のエビデンスは構築中であり、研究が進んで有効性が確立されることを期待して待つ段階。
普通の水と比較して良い効果があるかもしれない程度。
根拠が明確にないまま数年が経過してることから、たいした効果は期待されないからというのが所感。
水素の量をあらわす単位は2つある。
1.溶存水素濃度 1.6ppm以上
地上1気圧で1.6ppm以上が飽和状態であると言われるから。
2.酸化還元電位 -500mv~-600mv
還元力がどれくらいあるかの数値
個人的な結論は毎日飲んでいても変化は感じない。