トレーニング頻度や分割の仕方について悩んだり迷ったりする方は多いのではないでしょうか。今回のnoteではどちらが筋肥大により効果的かを説明していきます。
目次
分割法と全身法
いきなり結論
なぜ高頻度の全身法はボリュームを出しやすいのか
とはいえ継続できる方法で
個人的な意見:脚のトレーニングは分割した方が良い
具体的な全身トレーニングのメニューはこちらから
今回参考にしたレビュー
分割法と全身法
分割法
最もメジャーな分割は「胸・背中・肩・腕・脚」の5分割ではないでしょうか。部位ごとに分けてトレーニングを行う方法です。5分割の場合は1週間に1部位につき1回トレーニングします。
全身法
1日で全身をトレーニングする方法です(スケジュールにもよりますが、毎回1日でスクワット・ベンチプレス・デッドリフトの全てを行うわけではありません)。1週間に1部位につき複数回トレーニングします。
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いきなり結論
分割法でも全身法でも同じボリューム*ならほぼ同じ筋肥大効果があります。
- 各種目の[重量xレップ数xセット数]の総和
同じボリュームならほぼ同じ筋肥大効果がありますが、全身法(もしくは上半身・下半身の大きな分割)・高頻度で鍛えた方が質もボリュームも稼ぎやすいので、大きく分割した方が良いトレーニングができる可能性が高くなります。
そして、1日に1部位10セット以上やると筋肥大効果が無駄になる可能性が高いので
週1回20セットやるよりも10セットを週2回、6-7セットを週3回に分けた方がいい可能性が高いです。
例えば週に1回脚を5種目3セットでも、週に5回、1回1種目3セットでも、結論どちらも同じボリュームで行えば同じくらいの筋肥大が望めます。しかし、大体の人にとって質の高いボリュームが出しやすいのが高頻度の全身法体の人にとって質の高いボリュームが出しやすいのが高頻度の全身法です。
なぜ高頻度の全身法はボリュームを出しやすいのか
脚の日を例に説明していきます。
スクワット系(片足、レッグプレスも含めた四頭、尻)12セット/週
ヒンジ系(ハム尻脊柱)の種目を12セット/週
週合計24セット
これを5分割トレーニングで行うとすると、24セットを1日で行う必要があります。
A.5分割トレーニングの脚の日の例
スクワット 7セット
デッドリフト 4セット
レッグプレス 4セット
ダンベルルーマニアンデッド 3セット
ブルガリアンスクワット 3セット
レッグカール 3セット
合計24セット
これはすごいボリュームですよね。1日でやろうとするとおそらく1種目目のスクワットの時点で疲れてしまい、後の種目は強度・質ともに落ちてしまうことが予想されます。最低でもトレーニング時間は2〜3時間はかかるでしょうし、激しい筋肉痛で次のトレーニングに支障が出る可能性も出てきます。
B.全身高頻度トレーニングの例
Day1
スクワット 4セット
Day2
デッドリフト 4セット
ブルガリアンスクワット 3セット
Day3
スクワット 3セット
ダンベルルーマニアンデッド 3セット
Day4
レッグプレス 4セット
レッグカール 3セット
合計24セット
これなら集中して出来そうではないですか?筋肉痛がある状態でも行って大丈夫ですし、そもそも1日でこのくらいの量であれば筋肉痛はかなり少ないでしょう。むしろ毎回フレッシュな状態で行えるので質の高いトレーニングが出来ます。
いきなり「分割法でも全身法でも同じボリュームならほぼ同じ筋肥大効果があります」と結論を述べましたが、果たしてAとBを「同じボリューム」で行える人がどれぐらいいるでしょうか。
また、先で述べた通り、1度に1部位10セット以上のトレーニングはジャンクボリュームと言って筋肥大には効果的ではない、無駄なボリュームになってしまう可能性があります。
とはいえ継続できる方法で
大きな分割での高頻度トレーニングが効果的であるという説明をしましたが、やっていて楽しくなかったり、続かなければ意味がありません。まずはトレーニングをやること、トレーニングを続けることが大切なので、分割した方がやっていてモチベーションが保てるのであれば分割法でもいいと思います。
個人的な意見:脚のトレーニングは分割した方が良い
脚の筋肉は、全身の筋肉のうち7割を占めると言われています。つまり上半身の筋肉は残りの3割ということになりますが、3割である上半身を「胸・背中・腕・肩」で4つに分割するのに、7割の下半身を1日でトレーニングしようとするのは無理があるのではないか…と思います。
先ほど例に出したようなメニューをこなそうとすると、とにかく疲れますし、フォームが乱れることで腰や膝などの怪我のリスクも高くなります。必ずしも全身トレーニングにする必要はありませんが、上半身・下半身の大きな分割にして、下半身は週に2〜3回に分けて行った方が、トレーニングの質も向上し筋肥大にも繋がってくるのではないかと思います。
具体的な全身トレーニングのメニューはこちらから
今回参考にしたレビュー
WeightologyのJames Krieger氏がトレーニング頻度と筋肥大の関係についてレビューしています。Training Frequency for Hypertrophy: The Evidence-Based Bible
However, this is just one study, and the weight of the evidence, when considering these three studies and data from the Volume Bible, suggests that very high per-session volumes are not ideal. Thus, training frequency likely doesn’t make a difference when the per-session volume is less than around 10 sets and you’re taking reasonable rest intervals (2+ minutes). However, if it greatly exceeds 10 sets, then it may be more beneficial to split the volume into a higher frequency.
セッションあたりのボリュームが一つの筋肉で10セット以下で、適度な休息間隔(2分以上)をとっている場合は、トレーニング頻度に違いはないと考えられます。 しかし、10セットを大幅に超える場合は、より高い頻度でボリュームを分割した方が有益な場合があります。
Volume > frequency. In the volume bible, there was a clear impact of training volume on muscle hypertrophy. In this analysis, frequency appears to have minor impacts on hypertrophy at best. This means it’s more important to focus on manipulating volume rather than frequency when you’re trying to get bigger. Rather, frequency can be used as a tool to increase volume and perform more quality sets. Rather than continuing to add more and more volume in a single session, where accumulated fatigue could limit your performance and adaptations, you add another training day or two for a particular muscle group during the week.
“ボリューム>頻度
ボリュームバイブルでは、トレーニング量が筋肥大に与える影響は明らかでした。 この分析では、頻度が肥大に与える影響は、せいぜい軽微であるように見えます。
つまり、筋肥大を目指す際には、頻度よりもボリュームの操作に重点を置くことが重要だということです。むしろ、頻度はボリュームを増やし、より質の高いセットを行うためのツールとして使用することができます。 蓄積された疲労がパフォーマンスや適応力を制限する可能性がある1回のセッションでどんどんボリュームを追加し続けるよりも、特定の筋群のために1週間の間に別のトレーニング日を1日か2日追加するのです。”
(高頻度でやることそのものが効果的という面もありますが、ボリュームを稼ぐためのツールとして高頻度でのトレーニングが効果的ということですね)
Even though volume > frequency, the importance of frequency increases as volume increases to high levels. In the volume bible, I outlined evidence that there may be a limit to how many effective sets you can do in a single training session, and anything beyond that can be considered “junk volume”. This appears to be around 6-8 sets per muscle group on average when taking long rests between sets. Thus, if you’re training with 15+ sets per muscle group per session and taking long rests, it may be more effective to split the volume up into more frequent sessions.
“ボリューム>頻度であっても、ボリュームが高レベルになると頻度の重要性が増します。 ボリュームバイブルでは、1回のトレーニングセッションで効果的なセット数には限界があり、それを超えるものは「ジャンクボリューム(無駄なボリューム)」とみなされる可能性があるという証拠を示しました。これは、セットとセットの間に長い休息をとった場合、平均的には1つの筋群あたり6~8セット程度になるようです。したがって、1セッションあたりの筋群あたり15セット以上のトレーニングを行い、長い休息を取っている場合は、より頻繁なセッションにボリュームを分割した方が効果的かもしれません。”
(高ボリュームを達成するために1度のトレーニングで10セット以上行ってしまうとジャンクボリュームになる可能性があるため、高ボリュームトレーニングを行うためには自然と高頻度トレーニングになるということです)
The bro-split isn’t as bad as some believe if training volume is low to moderate, but is likely an inferior way to train if training volume is high. In these analyses, the bro-split of training one muscle group per week was not statistically different from any other frequency, and the Bayesian analysis only suggested that trivial to small benefit to a higher frequency. However, there is a caveat to this. As demonstrated in the Volume Bible, there is an interaction between volume and frequency, and there is likely an upper limit to “effective” volume in a single training session. The high volume bro-splits, where you train each muscle group for 15-20+ sets in a single training session, may not be a great way to train.
ブロスプリット*は、トレーニング量が少ない場合や中程度のトレーニングであれば、一部の人が考えるほど悪くはありませんが、トレーニング量が多い場合には劣ったトレーニング方法である可能性があります。これらの分析では、週に1つの筋群をトレーニングするブロスプリットは、他のどの頻度とも統計的には差がなく、ベイズ分析では、頻度が高い方が些細なことから小さなメリットがあることを示唆しているにすぎません。しかし、これには注意点があります。
ボリューム・バイブルで実証されているように、ボリュームと頻度の間には相互作用があり、1回のトレーニング・セッションにおける「効果的な」ボリュームには上限があると考えられます。 1回のトレーニングセッションで各筋群を15~20セット以上トレーニングする高ボリュームのブロスプリットは、あまり良いトレーニング方法とは言えないかもしれません。
- ブロスプリット…ボディビルダー的な5分割トレーニング。少々蔑んだ言い方で、海外ではあまり良いものではないとされている
こちらの動画からの書き起こし記事でした。
下記は結構前の動画ですがこちらも併せてどうぞ。