「トレーニングボリューム」と「Effective Rep」って、何?

僕は、トレーニングを始めたばかりの初心者から中級者あたりまでは「ボリュームを管理した、追い込まないトレーニング」を推奨しています。

ボリュームとは?

▶︎挙上重量×回数の総和

ex.50kg10レップ3セットなら50×10×3=1,500kgのボリューム

筋肥大の考え方として、セット数や頻度等のトレーニング量を「ボリューム」という考え方で管理するのが大切になってきます。

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今回は「トレーニングボリューム」にフォーカスして説明していきます、「追い込まないトレーニング」についてはこちらの記事をご覧ください。

目次

本記事を読むにあたっての注意点

EffectiveRep〜効果的なレップとは?

大事なのは週のEffectiveRepのトータルボリューム

Dr.Mike IsratelのHypertrophyガイドによるボリュームの分類

自分に最適なボリュームの探し方

最適なボリュームが変わる要因とは?

「1㎏100回」と「100㎏1回」は同じボリューム、筋肥大効果は同じ?

ボリュームを管理してトレーニングしよう

関連動画

本記事を読むにあたっての注意点

①セット数は、「1部位あたり」の週のセット数です。

ex.「10セット/週」という記載の場合

×胸・背中・脚・肩を合わせて週に10セット

○胸10セット、背中10セット、脚10セット、肩10セット/週

②胸なら胸、肩なら肩で1部位です。

大胸筋上部・中部・下部のように、細かくは分けません。

③基本的にはフルレンジでのボリュームです。

スクワットで浅くしゃがむと、可動域が減るのでボリュームが減ってしまいます。ボリュームだけではなくストレッチ刺激、筋肉が伸ばされた際にかかる負荷というのが筋肥大には重要とされていますが、可動域が狭いとこの刺激もなくなってしまうので基本的にはフルレンジで考えます。

EffectiveRep〜効果的なレップとは?

10回ぎりぎり出来るなら、5~10回目のボリュームの総量が筋肥大には重要なのではないかというのが最近分かってきました。5RM以下なら最初のレップから筋肥大ボリュームになります。これをEffective Rep=効果的なレップという言い方をします(5RM…5回がギリギリできる重量)。

重量を固定して行う10回3セットとか5回5セットのストレートセットだと、1-2セット目は余裕を持って出来るのでボリュームを稼ぎやすいです。

1セット目から潰れるまで追い込んでしまうと出力が落ちてしまうので限界一歩手前で行うことでボリュームを稼ぎます。

逆に5RM以下の2RMとか3RMで行うと、重量は重いですがレップ数が稼げないのでやはり5~12RM あたりで行うのがボリュームを増やしやすくなります。

大事なのは週のEffectiveRepのトータルボリューム

Effective Repの週のトータルボリュームが筋肥大には大切なので、例えば週に1回脚の日、胸の日という風にするよりも、脚を週に2回に分けた方がより高重量を扱えるのでEffective Repのボリュームが増えます。

つまりスクワットを1日10セットやるより、週に2回5セットづつした方が、体力的に重さも扱えます。さらに高頻度でやった方がスクワットの動作自体も上達しやすくなります。

Dr.Mike IsratelのHypertrophyガイドによるボリュームの分類

①MV:maintenance volume=維持ボリューム

筋肥大はしないけど減りもしない維持するための最低限のボリュームです。ディロードトレーニングではこのMVで行うことが多いです。3-6セット程度です。

②MEV:minimum effective volume=最低限のボリューム

筋肥大をする最低限のボリューム。6-10セット程度です。

③MAV:maximum adaptive volume=最大適応ボリューム

筋肥大の最大限効果を出すためのボリュームです。部位にもよりますがだいたい10-20セットぐらいだとしています。個人的には筋肥大目的かつ増量期でしっかり毎月体重を増やしている場合、このくらいのボリュームで様子を見た方がいいのかなと思います。

④MRV:maximum recoverable volume=最大回復可能量

ぎりぎり回復出来るトレーニング量です。だいたい20セット-で、これ以上はオーバーワークになるという量です。あえてこの量まで増やしてキャパシティを増やすという手法です。

Dr.Mikeの各部位についてのボリュームの解説はYouTubeでも公開されているので気になる方は検索してみてください。ただ最適なボリュームには個人差があるので、かなり幅は大きいです。

体重を大きく増減させないパワーリフティングや筋肥大のサイクルトレーニングではMEV→MAV→MRV→MV(ディロード)でボリューム更新、MAX重量更新という風にしていきます。体重を大幅に増やしている場合や、初心者の場合はサイクルトレーニングは必ずしも必要ではありません。

自分に最適なボリュームの探し方

Eric Helms博士も、自身の著書”筋肉と筋力のピラミッド”で、ボリュームに関して

出来る限りたくさんトレーニングをやるのではなくて、成長できる範囲で十分

回復できる場合は、プラトー(停滞)した時にボリュ-ームを増加させます。

と記しています。

▶︎トレーニングを始めたばかりの初心者や、伸び悩んでいる人

「各部位10セット/週」からスタートしましょう。

▶︎トレーニング歴が長くなって、停滞してきてセット数が足りていないと感じる人

・15セット/週に増やす

・3〜5レップの高重量低レップのセットを取り入れる

・「1〜2ヶ月程度20セット/週で行う→10セット/週に戻す」を繰り返す

肩や胸、背中など、特定の部位を集中して鍛えたい場合は、他の部位を少し控えめにするなどしてボリュームのバランスを取る工夫も必要だと思います。

ショーエンフェルト博士によれば週に10セット前後を目安に。ロバートモートン博士によると各部位週に15セット以下で、15セットを超えないセットで行うことを推奨しています。

僕の初心者向けプログラムでも週に9セットで設定しています。3〜4週間程度プログラムを続けてもらい、伸びていればそのまま続けてください(初心者のうちは9セットでしばらくの間伸び続けると思います)。

身体的な負担の面から、少ないセット数で伸びていくに越したことはありません。

最適なボリュームが変わる要因とは?

①年齢

10代と50代では回復力に差があるのは明確なので、年齢が高いと最適なボリュームは下がる。

②睡眠時間

何時間寝たかによって変わる。8時間程度の睡眠が望ましい。

③生活強度

デスクワークか、肉体労働か、立ち仕事か等によって変わる。もちろんデスクワークの方が回復は早く、ボリュームを多く出来る可能性が高い。

④精神的ストレス

仕事などでストレスを抱えていると肉体的な疲労も溜まりやすい。

⑤身長

身長が高くなると、ほとんどの場合は可動域が広くなります。腕が長ければベンチプレスのストロークはより長くなりますし、脚(特に大腿骨)が長ければスクワットでより多くしゃがむ必要があります。同じベンチプレス100kgでも、例えば可動域が15cmの場合と30cmの場合では仕事量は倍違います。したがってボリュームは身長によっても変わってきます。

トップビルダーはナチュラル・プロ問わず、平均よりも低身長の選手が多いので、160㎝前半のトップビルダーが週にベンチプレスを20セット行った場合のボリュームは180㎝の初心者の10セット程度に相当する可能性があります。

160cm前半のトップビルダーは、180cmの初心者の人に比べて腕が短く胸板は厚くブリッジが高い場合が多いので可動域が狭い=仕事量が少ないからです。初心者で高身長だと腕は長いし胸板も薄いしブリッジも低いので、倍以上の可動域になってもおかしくはありません。

高身長・高体重の人は扱う重量も可動域も増える場合がほとんどなので高ボリュームになりやすく、オーバーワークに気を付ける必要があります。

上記の要因から、「適切なボリューム」というのは個人差によるものがかなり大きくなります。

「1㎏100回」と「100㎏1回」は同じボリューム、筋肥大効果は同じ?

ベンチプレス100㎏1回と1㎏100回は同じボリュームですが、おそらく「1kg100回」が限界な人はいません。つまり100回以上レップをこなすことが可能なため、Effective Repが存在しないということになります。よって「100kg1回」と「1kg100回」のボリュームは同じですが、筋肥大効果は同じではありません。

5RM〜10RMの「ある程度重い重量」で行うことでEffective Repが入り筋肥大に効果的なボリュームとなるので、極端に軽い重量の場合は効果的なレップとは言えません。

考えれば当たり前の事で、マラソンランナーは自重でスプリットスクワットを毎日何万回もしていることになり、ボリュームはボディビルダーのトレーニングの何百倍にもなりますが実際マラソンランナーの脚の筋肉はボディビルダーほど大きくなりません。

つまりある程度の重量=10RM以下の高重量を扱うか、軽重量でも限界近くまで行った時のボリュームが大事であるということです。

ボリュームを管理してトレーニングしよう

自分でトレーニングプログラムを作る場合、なんとなくでセット数を決めたり、追い込むことだけを考えるのではなく、この「ボリューム」という考え方を頭においてプログラムを作りましょう。

具体的にどういう風にトレーニングしたらいいか分からない場合は、初心者向け・初中級者向けのプログラムを販売していますので参考にしていただければ幸いです。

関連動画

▶︎追い込まない方が筋肥大する?「ボリューム」という考え方【筋トレ】

論文やレビューを引用しながら詳しく解説しています。

▶︎筋トレで効果的な「セット数とレップ数」とは?|10回3セットの理由!

僕は、トレーニングを始めたばかりの初心者から中級者あたりまでは「ボリュームを管理した、追い込まないトレーニング」を推奨しています。

ボリュームとは?

▶︎挙上重量×回数の総和

ex.50kg10レップ3セットなら50×10×3=1,500kgのボリューム

この「ボリュームを稼ぐ」というのが非常に重要で、ボリュームを稼ぐためには「追い込まない」トレーニングが効果的です。

今回は「追い込まない」部分にフォーカスして説明していきます(ボリュームについて興味がある方はこちらの動画をご覧ください)。

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目次

「追い込まないトレーニング」って?

「追い込む=ボリュームを出せる」とは限らない

追い込まないトレーニングのメリットとは?

「適切なフォーム」でレップを重ねることの重要性

追い込まなくても筋肥大するの?

とはいえ軽すぎはダメ

「追い込むVS追い込まない」ではない

関連動画

追い込まないプログラム

「追い込まないトレーニング」って?

あなたは「追い込まないトレーニング」と聞いてどういうトレーニングをイメージしますか?「潰れるまでやらないなら楽そう」「追い込むトレーニングより筋肥大しなさそう」というイメージが少なからずあるのではないでしょうか。

ボリュームを確保するために、ある程度の高重量でより多くのセットを行うため、追い込まないトレーニング=楽、疲労がない、というわけではありません。

ここでは、「潰れるまで追い込まずに、あと2〜3レップできる余力を残して終わるトレーニング」を、「追い込まないトレーニング」と定義します。

「追い込む=ボリュームを出せる」とは限らない

ベンチプレス100kgx10レップがギリギリできる人のある日のメニュー

①追い込む場合

1セット目…10レップ

2セット目…6〜7レップがギリギリできる

3セット目…さらに疲労しているのでおそらく4〜5レップ

4セット目…フォースドレップで3〜5レップ

5セット目…80kgに落として10レップ

②追い込まない場合

1、2セット目…100kg7レップ(2〜3レップ分余力を残して終わる)

3〜5セット目…95kg7レップ(5%重量を落としたbackoffセット)

①追い込む場合と、②追い込まない場合、どちらの方がボリュームが多いと思いますか?潰れる直前まで追い込む場合の方がボリュームが多そうだし、フォースドレップもやってるし効果がありそう…と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それでは答え合わせです。

①追い込む場合のボリューム

100kg25レップ=2,500kg

80kgx10レップ=800kg

トレーニングボリュームは3,300kgです。

②追い込まない場合のボリューム

100kg7レップ2セット=1,400kg

95kg7レップ3セット=1,995kg

トレーニングボリュームは3,395kgです。

実は、②追い込まない場合 の方がボリュームが多いんです。

①のような追い込むトレーニングをしている方、潰れるまでやった時の「やった感」が、「いいトレーニングができたかどうか」の判断基準になっていませんか?

追い込まないトレーニングのメリットとは?

「ベンチプレス100kg10レップギリギリできる人」が10レップでセットを組むと、どうしても最後の2〜3レップはフォームが崩れがちになってしまいますし、2、3セット目は10レップ行うことはまず難しいですよね。フォームが崩れるだけでなく、大胸筋以外に負荷を逃し、代償動作も出て怪我のリスクも高まり「ベンチプレスで胸を鍛える」という目的から外れてしまいます。また無理に粘ったり、潰れてしまうとその後のセットのボリュームも強度も落ち、神経系も疲労してしまいます。

追い込まないトレーニングは、「100kg7〜8レップ」という「あと2、3回余力を残して終わる」セットの組み方をすることで、適切なフォームで対象の筋肉をしっかり使いながらトレーニングすることができ、怪我のリスクも少なくなります。また余力を残しつつ行うことで、潰れるまでやるより回復も早くなります。

両者とも3300-3400㎏で大体ボリュームは同じなので筋肥大の効果はほぼ一緒です。どちらの方が効率がいいでしょうか?

「適切なフォーム」でレップを重ねることの重要性

①追い込むトレーニング…合計35レップ

②追い込まないトレーニング…合計35レップ

合計のレップ数は①②共に35レップで同じです。

しかし、①追い込むトレーニングでは、潰れるまでやっているので最後の2〜3レップはフォームが崩れていることを加味すると、適切なフォームで行えているのは25〜27レップ程度ということになります。

筋肥大目的、筋力アップ目的のどちらにおいても、「適切なフォームで、対象の筋肉をしっかりと使う」ことは非常に重要です。

追い込まなくても筋肥大するの?

追い込まなくても筋肥大しますし、当然追い込んでも筋肥大します。

追い込むとフォームも崩れやすい上に怪我のリスクも上がるので、トレーニングフォームを崩さずに行える上級者は追い込むトレーニングを行ってもいいと思いますが、初中級者のうちは「適切なフォームである程度余力を持って終わることができる」追い込まないトレーニングを推奨しています。

追い込んでオールアウトするメリットは筋繊維を全動員しやすいという点であるとされていましたが、それよりも追い込まずに疲労を管理した方が筋肥大にはメリットあるのではないかという考えが主流になっています。

とはいえ軽すぎはダメ

追い込まないと言ってもある程度の重量は必要です。

MAX重量の70-80%の負荷でRPE7-8の重量設定で複数セットを行うのが最もボリュームを稼ぎやすく、トレーニング強度を出すことができます。

「追い込むVS追い込まない」ではない

この2つは相反するもののように思われがちですが、「追い込む」というのは本来「ボリュームを稼ぐためのテクニック」です。ボリュームを稼ぐために追い込むのであって、追い込むことが目的になって、ボリュームの管理ができていなければ本末転倒です。

追い込む場合も、追い込まない場合もトレーニングボリュームはしっかりと管理できるようになりましょう(ボリュームについてのnoteも後日公開します)。

関連動画

▶︎追い込まない方が筋肥大する?「ボリューム」という考え方【筋トレ】

論文やレビューを引用しながら詳しく解説しています。

▶︎筋トレで効果的な「セット数とレップ数」とは?|10回3セットの理由!

追い込まないプログラム

販売当初、「物足りません」「種目を足してもいいですか?」系のコメントが多く寄せられましたが、筋肥大には効果的なトレーニングボリュームというものがあり、それに基づきこの2つのプログラムを作成しています。まずは2ヶ月程度、プログラム通り行ってみてください。

これまで追い込むトレーニングを行ってきた方で、僕のプログラムに移行された方の感想などがあれば聞きたいのでぜひコメントよろしくお願いします!