マシンとフリーウェイト、どちらが筋肉を大きくし、筋力を向上させ、かつ関節に負担をかけないかについての疑問に対して、現在では科学的な根拠がある程度に明確になってきています。
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よくある意見
マシン派の意見
マシンが筋肉の成長に寄与するという意見があります。
これは、マシンが動作からスタビライザー(バランスをとるための体力)を排除できるため、狙った筋肉に的確にアプローチできるからです。
また怪我のリスクの減らすことができると主張する方も多いです。
フリーウエイト派
一方で、フリーウエイトトレーニング志向の人たちは、マシンが筋力向上には劣っており、むしろマシンは関節に負担をかけ、筋肉の成長にも寄与しないと主張しています。
ただし、これは客観的な見地よりも、むしろ思想に基づく立場が強いと考えられます。
例えば、本物のトレーニーになるためには重いスクワット絶対に必要だ!思想が存在しています。
バーベルVSマシンの科学的根拠
必ずしもバーベルスクワットをしないといけないというのが真実ではないことが新しい研究で示されています。
この研究では、バーベルを使ったグループと、同じ運動を行うマシンを使ったグループを比較しました。
両グループで筋肉成長は同じだったが、筋力向上は使用した器具に特有でした。つまり、バーベルグループはバーベルリフトで、マシングループはマシンエクササイズで筋力が同様に向上しました。これは2021年のメタ分析と一致し、マシンとフリーウェイトが筋力向上に同等に効果的であることを示しています。
筋肉にとっての負荷はフリーウエイトもマシンも同じ
筋肉は機械的な張力に反応して強くなるため、その張力の源が何であれ関係ありません。
しかし、特異性の原理から筋力の他のエクササイズへの移行に関しては、マシンが少し劣っている傾向があります。フリーウェイトエクササイズはスポーツ特有の動作への移行にやや優れていますが、そこまで大きな差はありません。
実はフリーウエイトの方が関節には優しい
また、関節痛に関しては、バーベルとマシンの両方のグループで同程度の不快感が報告されましたが、2008年の研究では、固定された動きのマシンの方が、より自由な動きを可能にするマシンよりも関節の不快感が高かったと指摘されています。動きの自由度が高いフリーウエイトの方が実は関節に負担をかけないことを示唆しています。
フリーウエイトの方が怪我が多いイメージがありますが、これはフリーウエイトを好んで行うリフターはマシーン中心のトレーニーより、高重量を好んで行うという要因が大きいのではないかと個人的には思います。
個人的な意見
この論争は何度も見てきましたが、個人的にはフリーウエイトがしっかり出来ない人ほどフリーウエイトをやるべきですしフリーウエイトができる人はマシンでも問題ないでしょう。
トレーニングには筋肉に負荷を与えるという側面と、運動という側面があります。
例えばバーベルスクワットやハックスクワット、レッグエクステンションはどれも大腿四頭筋に負荷を与えるという面と、スクワット動作という運動という側面があります。
大腿四頭筋に負荷を与える側面だけ見ればバーベルスクワットよりも、ハックスクワットの方が集中して負荷を与えやすく、レッグエクステンションは更に集中的に負荷を与えることができるでしょう。
だからといってレッグエクステンションだけやっていれば、身体を連動させて行うスクワット動作はうまくならずに長期的な過負荷をかけていくのは難しくなるでしょう。
この手の研究は短期(長くても数ヶ月)で長年のトレーニングで停滞している場合を想定はしていません。
また、マシンだけだと種目の選択肢もかなり限られてしまいます。
それぞれ使い分けていくのが最も効果的な選択でしょう。
フリーウエイト→身体の連動を使って身体能力を向上させ全体的なベースアップで漸進性過負荷を狙う
マシントレーニング→対象の筋肉をしっかり狙って鍛える
長期的な目線でこのような戦略が望ましいでしょう。
結論
この新しい研究と以前のメタ分析から、マシンとフリーウェイトが筋肉をつけるのに同等に効果的で、筋力をつけるのにもほぼ同等に効果的であるということがわかってきました。
しかし、これらの研究はほとんど短期的な目線であり、フリーとマシンそれぞれメリットとデメリットがあるのでしっかり使い分けてどちらも取り入れてトレーニングするのがもっとも効果的な選択だと考えられます。